古い家をリフォームする場合に注意すべき点は?

古い家のリフォームを検討している方へ。
「築年数が古い家をリフォームするには、どんなことに気をつければいいの?」
「せっかくリフォームするなら失敗したくないけど、どんな失敗があるんだろう?」
そんなふうに考えていませんか?
古い家のリフォームには、新築とは異なる特有の注意点があります。しかし、それらを事前に知っておけば、安心して理想の住まいへと生まれ変わらせることができます。
この記事では、古い家のリフォームでよくある失敗例から、成功させるための具体的な注意点まで、プロの視点でわかりやすく解説します。
古い家をリフォームする際の注意点
古い家をリフォームする際には、特有の注意点を押さえておくことが大切です。それを知っておけば、失敗を避けて、理想の住まいを実現できます。ここでは、リフォーム前に知っておきたい重要なポイントを詳しく解説していきます。
リフォームの目的を明確にする
古い家をリフォームする際の最初のステップであり、最も重要なのが、「リフォームの目的を明確にする」ことです。なんとなく「きれいにする」「使いやすくする」といった曖昧な目的では、工事が進むにつれて方向性がブレたり、予算オーバーになったりする原因となります。
限られた予算の中でどこに重点を置くべきか、どのような工事が必要になるのかが明確になります。
リフォームする前に住宅診断をする
古い家をリフォームする前に、必ず「住宅診断(ホームインスペクション)」を行うことを強くおすすめします。これは、建物の専門家が、目に見えない部分も含めて家の状態を詳細に調査するものです。築年数の古い家は、基礎のひび割れ、土台の腐食、シロアリ被害、雨漏りの跡、配管の劣化など、表面からはわからない問題が隠れていることが多々あります。
住宅診断を行うことで、これらの潜在的な問題を事前に把握し、リフォーム計画に盛り込むことができます。これにより、工事中に予期せぬ追加費用が発生するリスクを大幅に減らせますし、構造的な欠陥を見つけることで、安全性の確保にもつながります。
耐震基準を確かめる
古い家をリフォームする際には、「耐震基準を確かめる」ことが非常に重要です。日本の建築基準法は、過去に大きな地震が起こるたびに改正されており、特に1981年5月31日以前に建てられた「旧耐震基準」の建物は、現在の「新耐震基準」に比べて耐震性が低い可能性があります。
リフォームを機に、耐震診断を行い、必要であれば耐震補強工事を検討しましょう。耐震補強は、基礎や柱、梁などの構造体を補強するもので、地震から家族と家を守るために不可欠です。自治体によっては、耐震診断や耐震補強工事に対して補助金制度を設けている場合もありますので、確認してみると良いでしょう。
建築確認申請が必要になる可能性がある
大規模なリフォームを行う場合、「建築確認申請が必要になる可能性がある」という点も注意が必要です。建築基準法では、一定規模以上の増改築や、建物の構造に関わるような大規模なリフォームを行う際に、事前に建築確認申請を行い、建築主事や指定確認検査機関の確認を受けることが義務付けられています。
古い家の場合、増築や大規模な間取り変更、構造壁の撤去などを行う際に、この申請が必要となることがあります。特に2025年4月以降は建築基準法が改正されたため、建築確認申請が必要な範囲も拡大しました。もし、建築確認申請をせずに違法に工事を進めてしまうと、完了後に是正指導が入ったり、最悪の場合、建物の使用が制限されたりする可能性もあるでしょう。
リフォーム会社と打ち合わせをする際に、今回のリフォームが建築確認申請の対象となるか、必ず確認してもらいましょう。
補修に追加費用がかかることがある
築年数の古い家には、解体してみないとわからない問題が潜んでいることが多くあります。例えば、壁を剥がしたら構造材がシロアリに食われていた、床を剥がしたら湿気で土台が腐っていた、天井裏で過去の雨漏りの跡を発見した、というケースも珍しくありません。
このような事態に備えるためには、リフォーム費用の総額に対して10〜20%程度の予備費を見積もっておくことが大切です。また、リフォーム会社と「もし予期せぬ事態が発生した場合の対応や費用」について、事前に話し合っておくことも重要です。
将来を見据えてバリアフリー設計をする
古い家をリフォームする際には、「将来を見据えてバリアフリー設計をする」ことも検討することをおすすめします。今は必要ないと感じていても、家族が高齢になったり、怪我をして一時的に体が不自由になったりする可能性は十分にあります。
新築時にバリアフリーに対応するよりも、リフォームのタイミングで対応する方が、費用を抑えられる場合もあります。将来の安心のためにも、リフォーム会社と相談しながら、バリアフリー設計を積極的に取り入れてみましょう。
相見積もりをとって比較検討する
古い家をリフォームする際には、「相見積もりをとって比較検討する」ことが非常に重要です。複数のリフォーム会社から見積もりを取ることで、工事内容や費用、工期の妥当性を比較することができます。ただし、単に価格だけで判断するのではなく、見積もりの内訳が明確か、使用する建材や設備のグレードは適切か、提案内容がこちらの要望に合っているか、といった点もしっかりと確認しましょう。
安すぎる見積もりには、後から追加費用が発生するリスクや、手抜き工事の可能性も潜んでいます。逆に、高すぎる見積もりも適正価格とは言えません。複数の見積もりを比較検討することで、リフォーム会社の得意分野や対応の丁寧さなども見えてきます。納得のいくリフォームを実現するためにも、最低でも3社程度の相見積もりを取ることをおすすめします。
信頼できるリフォーム会社を選ぶ
古い家をリフォームするうえで、最も重要なのは「信頼できるリフォーム会社を選ぶこと」です。古い家は、これまで説明してきたように予期せぬ問題が発生しやすいため、それらに適切に対応できる経験と知識を持つ会社を選ぶことが欠かせません。
信頼できる会社を見極めるポイントとして、まず実績が豊富であることが挙げられます。特に古い家のリフォーム実績が多い会社は、さまざまなケースに対応してきた経験があるため、安心して任せられます。
また、担当者が親身になって相談に乗ってくれるか、質問に対して丁寧で分かりやすい説明をしてくれるかどうかも大切です。
さらに、見積もり内容が明確で、追加費用が発生する可能性についても事前に説明してくれる会社は信頼できます。アフターフォローや保証制度が充実しているかも確認しておきましょう。加えて、会社の評判や口コミを調べたり、可能であれば実際に施工事例を見学させてもらったりするのも有効な方法です。
古い家のリフォームでの失敗例
古い家をリフォームする際、夢を抱いて計画を進めるものの、思わぬ落とし穴にはまってしまうケースも少なくありません。ここでは、実際に多くの人が経験している、古い家のリフォームでよくある失敗例をご紹介します。
使いづらい間取りだった
築年数が古い家は、現在のライフスタイルには合わない間取りになっていることが多く、例えば、部屋数が多すぎる、リビングが狭い、水回りの配置が不便といった問題があります。リフォームで壁を取り払って広いLDKにしたものの、構造上どうしても柱が残ってしまい動線が複雑になったり、採光が十分に確保できなかったりして、結局使いづらい空間になってしまうことがあります。
また、家族構成の変化を見越さずにリフォームを進めた結果、子供が成長した際に部屋が足りなくなったり、夫婦二人の生活には広すぎると感じたりすることもあります。事前に家族の生活動線をしっかりとシミュレーションし、将来的な変化も考慮して間取りを検討することが非常に重要です。
断熱性が不十分だった
古い家のリフォームで、意外と見落としがちなのが「断熱性の問題」です。築年数の古い家は、現在の断熱基準を満たしていないことがほとんどで、壁の中や床下、天井裏に断熱材がほとんど入っていないことも珍しくありません。せっかく内装をきれいにリフォームしても、断熱改修を怠ると、夏は暑く冬は寒い状態が続き、光熱費がかさむだけでなく、結露によるカビの発生やヒートショックのリスクが高まる可能性もあります。
例えば、床暖房を導入したのに足元が冷える、エアコンの効きが悪いといった失敗談もよく耳にします。快適で健康的な暮らしを実現するためには、見た目だけでなく、壁や床、天井、窓など家全体の断熱性能を向上させるリフォームを計画に組み込むことが非常に重要です。
予想以上に費用がかかった
「リフォーム費用が予想以上に高額になった」という失敗も、古い家のリフォームではよく起こります。古い家は、解体してみて初めてわかる隠れた問題が多いからです。
例えば、壁を剥がしてみたら土台や柱がシロアリ被害にあっていた、配管が錆びていて交換が必要になった、屋根裏で雨漏りの跡が見つかった、といった予期せぬ事態が発生することがあります。これらの追加工事は、当初の見積もりには含まれていないため、予算を大幅にオーバーしてしまう原因となります。
予期せぬ出費に備えて、事前に余裕を持った予算計画を立て、予備費を設定しておくことが賢明です。
配管が劣化していて水漏れした
古い家のリフォームで特に注意が必要なのが、「配管の劣化による水漏れ」です。築年数の古い家では、給水管や排水管も老朽化している可能性が高く、表面上は問題がなくても、リフォーム工事の衝撃や、新しい設備を導入した際の水圧の変化などで、隠れていた劣化が一気に表面化することがあります。
水漏れは、建物の構造材を腐食させたり、カビを発生させたりして、さらなる被害を招く恐れがあります。そのため、水回りのリフォームを行う際には、目に見えない配管の状態も必ず確認し、必要であれば新しいものに交換しておくことが、将来的なトラブルを防ぐ上で非常に重要です。
まとめ
古い家をリフォームする際には、使いづらい間取りや断熱性の不足、予期せぬ追加費用、配管の劣化による水漏れなど、さまざまな失敗例があることを理解しておくことが大切です。しかし、これらの失敗は、適切な準備と知識があれば十分に防ぐことができます。
古い家でも、適切にリフォームを行うことで、新築のように快適で安全、そして長く愛せる住まいへと生まれ変わらせることが可能です。この記事で得た知識を活かし、ぜひ理想のリフォームを実現してください。