屋上(陸屋根)防水工事の種類と費用相場

屋上(陸屋根)は、洗濯物干しスペースや家族の憩いの場として使える、何かと便利なスペースです。しかし、傾斜がなく平らになっているため、水はけが悪いというデメリットがあります。
そのため、屋上(陸屋根)の防水工事は、非常に重要な役割を担っています。
ここでは、屋上(陸屋根)の防水工事が必要な理由や種類、防水工事が必要なタイミングについて解説します。屋上(陸屋根)の防水工事やメンテナンスについて知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
屋上(陸屋根)の防水工事が必要な理由
屋上(陸屋根)に防水工事が必要な理由は、水はけが悪いからです。屋根に勾配がないため、雨水が溜まりやすく、防水層の劣化も進みやすくなります。
屋上(陸屋根)の防水層が劣化するとひび割れなどの劣化症状が発生し、雨漏りのリスクが高まります。
雨漏りが発生すると、室内空間に影響が出るだけでなく、構造躯体も腐食させ、建物そのものの寿命を縮めることに繋がります。
屋上(陸屋根)の防水工事は、家と家族の生活を守るためにも重要なものです。
屋上(陸屋根)の防水工事の種類
屋上(陸屋根)の防水工事には、いくつかの種類があります。ここでは、主な3種類をご紹介します。
塗膜防水
塗膜防水は、液体状の防水塗料を塗って、防水のための層を作る工法です。給水槽やエアコンの室外機があっても、液体状のため細かい部分まで施工できます。
塗膜防水にはウレタン防水とFRP防水の2種類があります。
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を複数回塗り重ねて防水層を作る、一般的な工法です。材料費や人件費を比較的安く抑えられるのが特徴です。施工方法には、以下の2種類があります。
- 密着工法:防水層を下地に直接密着させる工法で、比較的施工が簡単です。
- 通気緩衝工法:下地に通気シートを敷き、湿気を逃がしながら防水層を施工する工法です。
FRP防水は、プラスチック樹脂にガラス繊維が混ざった素材を使い、トップコートを塗って完成させる工法です。ベランダやバルコニーにもよく使われます。
シート防水
シート防水は、床面に専用のシートを貼り付けて防水する工法です。工事費用・維持費用が安く耐久年数は10〜20年と長いです。
日光・紫外線・熱に強い耐久性を持っており、メンテナンスは基本必要がありません。シート防水には、塩化ビニールシート防水とゴムシート防水の2種類があります。
塩化ビニールシート防水は、耐久性・防水性に優れており、紫外線や物理的な衝撃に強いです。ただ、劣化が進むと硬くなって断裂が起きやすくなります。
ゴムシート防水は、合成ゴムで作られたシートです。塩化ビニールシートよりも薄いので耐久性は高くありませんが、柔軟性があるので地震に強いです。
アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトルーフィングシートと溶かしたアスファルトを重ねて施工する工法で、防水工事の中でも最も歴史のある方法です。
ルーフィングを何層にも積み重ねることで、水密性が高く、耐久性にも優れた防水層を形成できます。
熱工法・トーチ工法・常温工法の3種類があります。
種類 | 特徴 |
熱工法 | 高温で溶かしたアスファルトを使う工法。硬化が早く、短期間で工事が完了する。 |
トーチ工法 | トーチバーナーでアスファルトルーフィングシートの裏側を溶かしながら貼り重ねる工法。施工中の臭いや煙が少ない。 |
常温工法 | 火を使わず施工できる工法で、密集地や狭い場所にも適している。 |
施工場所に応じてさまざまな工法が採用されます。
屋上(陸屋根)の防水工事が必要なタイミング
屋上(陸屋根)は、定期的に防水工事やメンテナンスを行う必要があります。ではどのような状態になれば防水工事が必要になるのでしょうか。
次のような症状が出たら一度専門業者に点検を依頼しましょう。
劣化症状 | 特徴・補修工事の必要性 |
コケの発生 | 早急な補修は不要だが、滑りやすくなるため、こまめな除去が必要。 |
排水溝の詰まり | 排水溝が詰まると屋上(陸屋根)の水を排出できなくなるため、こまめに掃除が必要。掃除をしても解消されない場合は早めに業者へ相談。 |
雑草の繁殖 | 屋根材の劣化によって水はけが悪くなっている可能性が高いため、早めに業者にみてもらう必要がある。雑草の根が屋根材を突き破ると、雨漏りの原因となる。 |
ひび割れ | ひび割れ部分から雨漏りする恐れがあるため、早めの補修が必要。 |
チョーキング現象 | チョーキング現象とは、手で触った時に白い粉が付く現象のこと。塗膜が劣化しているため早めに対処が必要。 |
水たまり | 水たまりが残っている場合、防水層の劣化が進んでいる可能性が高い。屋上(陸屋根)が一面水たまりの場合は、早急に補修工事が必要。 |
雨染み・雨漏り | 室内に雨漏りが発生している場合、屋根材の防水効果が失われている状態のため早急な対応が必要。 |
浮き・膨れ・めくれ | 防水層が浮き上がったり、めくれたり、膨れていたりすると、そこから雨水が染み込む可能性がある。徐々に被害が広がり、防水層が全体的に剥がれてしまう可能性も高くなるため、すぐにでも補修が必要。 |
破損 | 防水層が明らかに破損している状態なら、早急な修理が必要。水が大量に染み込むと、土台や家そのものが劣化する恐れがある。 |
下に記載した項目ほど、補修工事の緊急性が高い症状です。
今の屋上(陸屋根)の状態を確認し、当てはまる症状がある場合は、早めに業者へ補修工事を依頼しましょう。業者に定期的にチェックしてもらって、適切な修理をしてもらうなどの対策を取る方法もあります。
まとめ
屋上(陸屋根)には、さまざまな使い道があります。これから家づくりを始める方の中には、「屋上のある家」に憧れる方も多いでしょう。
しかし、屋上(陸屋根)は水はけが悪く、他の屋根に比べて雨漏りなどのリスクが高いです。定期的にメンテナンスを行って建物を守りましょう。